年収の実態:公的データで見るといくら?
まず客観的な数字から。総務省の令和6年地方公務員給与実態調査によると、地方公務員(一般行政職)の平均給与月額は約40万円です。これをボーナス込みで年収換算すると、およそ660〜670万円とされています。
ただし、ここが大事なのですが、**これは平均年齢42歳前後の「全年齢平均」**です。つまり管理職層まで含めた数字なので、若手はこれよりかなり低いのが実態です。20代のうちは、正直「思ったより多くない」と感じる人も多いと思います。「公務員=高収入」というイメージだけで来ると、最初は少しギャップがあるかもしれません。
数字より効く「年収が読める」という価値
実際に働いて感じた年収の特徴は、金額の高さより「予測できること」でした。
成果で大きく上下することは基本的にありません。その代わり、急に下がることもなく、毎年少しずつ昇給していきます。だから、10年後・20年後の自分の給与水準が、おおよそ見通せる。これは家族を持つ身には、想像以上にありがたいことでした。住宅ローンや教育費といった長期の計画を、安心して立てられます。
「高い年収」より「読める年収」。ここに価値を感じられるかどうかが、公務員が向くかどうかの一つの分かれ目だと思います。
ボーナスと有給——失って初めて分かった安定の中身
在職中、当たり前だと思っていて、辞めてから重みを痛感したものが2つあります。ボーナスと有給です。
ボーナスは、年2回、比較的安定した時期にまとまった額が入ります。景気や人事院勧告で支給月数が動くことはありますが、民間ほど大きくは振れません。「このタイミングで繰り上げ返済しよう」といった計画が立てられる。フリーランスになった今、ボーナスという概念そのものが存在しないので、あの定期的なまとまった収入が、どれだけ家計と心の土台だったかを実感しています。
有給休暇も同じです。公務員時代は有給が取りやすく、子どもの行事にも比較的出られました。今は、休めばその分ダイレクトに収入が減る。「収入を気にせず休める」ことが、これほど大きな安心だったとは、手放すまで分かりませんでした。
福利厚生は、やはり手厚かった
実際に働いて一番のメリットだと感じたのは、福利厚生の手厚さです。各種休暇制度、育児・介護の制度、共済、各種手当——長く安心して働ける仕組みが整っていました。
特に育児関連は充実していて、しかも「制度はあるけど使えない」ではなく、実際に使いやすい環境でした。家庭を持つと、この「いざというとき守られている」感覚が、日々の精神的な支えになります。
一方で、引っかかっていたこと
正直に書くと、不満がゼロだったわけではありません。頑張っても、それがすぐ給与に反映される仕組みではない。大きな成果を出しても、年収が急に上がることは基本ありません。「出した成果の分だけ評価されたい」という人には、物足りなさが残る構造です。
僕自身、プログラミングを学ぶうちに「自分の成長が収入に直結する環境で挑戦したい」という気持ちが強くなっていきました。これは制度が悪いのではなく、自分の価値観が変わったということです。
フリーランスになって分かった、両者の違い
今はフリーランスで、収入は仕事量とスキル次第。仕事がなければゼロですし、健康保険は国民健康保険、年金は国民年金、確定申告も自分でやります。公務員時代は考えなくてよかったことが、全部自分の課題になりました。この現実を経て、公務員の福利厚生のありがたさを改めて感じています。
その代わり、努力とスキル次第で収入を伸ばせる余地があります。どちらが上という話ではなく、働き方がまるごと違う。だから「年収が高いか」ではなく「自分に合うか」で選ぶべきだ、というのが両方を経験した実感です。
市役所職員が向いている人・向いていない人
向いていると感じるのは——安定した収入と将来設計を重視したい人、手厚い福利厚生の中で長く働きたい人、地域貢献にやりがいを感じる人、家族の生活の安定を優先したい人。
物足りなさを感じやすいのは——成果で収入を大きく伸ばしたい人、新しい挑戦を繰り返したい人、自分のスキルを市場で試したい人。僕は後者寄りでしたが、それに気づけたのはフリーランスになってからで、公務員時代も自分には必要な時間でした。
まとめ
市役所職員の年収は、公的データの全国平均で660〜670万円ほど。ただしこれは全年齢平均で、若手はもっと低いのが実態です。飛び抜けた高収入ではありません。
それでも、毎年安定して昇給する、ボーナスと有給に守られる、福利厚生が手厚い、将来設計がしやすい——お金の額面だけでは測れない価値があります。そしてその価値は、フリーランスになって失った今、いっそうはっきり分かります。
大切なのは「年収が高い仕事」を選ぶことではなく、「自分が納得できる働き方」を選ぶこと。この記事が、その判断の材料になれば嬉しいです。公務員として働いて感じた良かったこと・後悔したことは、別記事にもう少し踏み込んで書いています。